
植物はなぜ日光で赤くなる?赤い葉とアントシアニンの「日光対策」をアスペラで観察
植物を育てていると、強い光に当てたあとに葉や茎が赤くなることがあります。
「葉焼けしてしまった?」と思うかもしれません。
しかし、この赤色。
植物が強い光から自分自身を守るために作っている色素である場合があります。

アスペラの赤みで分かること・分からないこと
| 実株の観察 | 我が家の斑入りアスペラでは、光の当たり方によって赤みが強く見えることがある |
|---|---|
| 研究で知られる働き | 他の植物で、アントシアニンによる強光からの保護が調べられている |
| この株で未測定 | 赤色の色素成分、光量、色素量、光合成や葉の障害との関係 |
| 色だけで決めないこと | 赤いから健康、赤いから葉焼け、赤いからさらに強光に耐える、という判断 |
この記事では一般的な色素の研究と、アスペラ斑入りの栽培・成長記録を照らし合わせます。掲載写真の赤色を化学分析したものではありません。
「サングラス」の説明を支える研究
シロイヌナズナの3系統を比較したZhengらの研究(2020年オンライン公表)では、強光下での保護において、アントシアニンが光を弱める働きの重要性が示されました。これはシロイヌナズナの試験であり、アスペラの色素や葉焼けの有無を直接調べた研究ではありません。
植物はなぜ日光に当たると赤くなる?
植物の葉や茎に現れる赤~紫色には、アントシアニンという色素が関係していることがあります。
アントシアニンは花や果実の色を作ることでも知られていますが、葉や茎などの栄養器官にも作られます。
そして、この色素には強すぎる光から植物を守る「光防御」に関係する働きがあることが分かっています。
植物にとって光は光合成に必要不可欠ですが、強ければ強いほどいいわけではありません。
植物が処理できる以上の光を受けると、光合成器官に負担がかかり、光阻害や酸化ストレスにつながることがあります。
そこで植物によっては赤い色素を増やし、葉の内部に届く過剰な光を弱める仕組みを利用します。
イメージとしては植物自身が作る「サングラス」
かなり簡単に表現するなら、アントシアニンは植物自身が作るサングラスのようなものです。
赤い色素が光の一部を吸収することで、葉緑体まで届く過剰な光を減らします。
さらにアントシアニンには、強光などのストレスによって生じる活性酸素に対する抗酸化作用も研究されています。
つまり植物の赤色は、単なる見た目の変化ではなく、環境への適応反応のひとつとして現れている場合があります。
我が家のフィカス・アスペラでも赤色がよく分かる
赤みの変化を観察しているのが、我が家で育てているフィカス・アスペラです。色が変わる観察と、その原因をアントシアニンによる光防御と特定することは分けて考えます。

アスペラを観察していると、光の当たり方によって赤みがかなり強く出ることがあります。
特に斑入り株では、緑・白・赤が同じ株の中に現れるため、色の変化が非常に分かりやすいです。

赤くなった=葉焼け、ではない
ここは植物を育てるうえで知っておくと面白いポイントです。
強い光に当てたあと赤くなったからといって、それだけで葉焼けしたとは限りません。
葉焼けでは組織そのものがダメージを受け、白っぽく抜けたり、茶色く壊死したりすることがあります。
一方、アントシアニンなどによる赤色は、葉の組織が生きたまま色づいて見えます。
| 状態 | 見え方の目安 |
|---|---|
| 赤い色素 | 赤~赤紫色に見える。色だけで組織の健全性を判断しない |
| 葉焼け | 白化、褐変、乾燥、壊死などが起こることがある |
もちろん、赤くなっているから「もっと強い光を当てても大丈夫」という意味でもありません。
赤色がストレスへの防御反応として出ている場合、その植物がすでに強い光へ対応している途中とも考えられます。
新芽が赤い植物にも意味がある?
フィカスを集めていると、もうひとつよく見るのが新葉だけ赤い植物です。
若い葉はまだ組織や光合成機能が完成していないため、成熟葉より強い光の影響を受けやすい時期があります。
植物によっては新葉にアントシアニンを蓄積し、葉が成熟するまで光から保護していると考えられています。
そして葉が成熟すると赤色が薄くなり、通常の緑色へ変わっていくことがあります。
フィカスを育てていると当たり前のように見る「赤い新芽→緑の葉」にも、植物側の理由があるわけです。
斑入り植物ではさらに重要かもしれない
特に興味深いのが斑入り植物です。
白斑部分はクロロフィルが少ない、あるいはほとんど存在しないため、緑色部分とは光に対する性質が異なります。
そのため、強い光に当てたとき、斑入り部分やその周辺に赤~ピンク色が強く現れる植物があります。
アスペラ斑入りも、その変化を観察するには非常に面白い植物です。
ただし、ここも「斑入りだから必ず赤くなる」「赤色は必ず斑を守るため」とまでは言えません。
赤色の出方は種類、個体、葉齢、温度、光量などさまざまな条件に左右されます。
赤色は植物からの「日差しが強い」というサインにもなる
植物を長く育てていると、葉色を見るだけでも環境の変化が分かることがあります。
暗い場所では緑だった植物が、明るい場所へ移動すると赤くなる。
季節が変わって日差しが強くなると赤みが増す。
こうした変化は、植物が周囲の環境に合わせて姿を変えている結果である可能性があります。
人間からすると「葉の色が変わった」だけですが、光環境への応答は考えられる要因のひとつです。ただし温度や葉の年齢も同時に変わるため、赤みだけで原因を決めることはできません。
写真で比較するなら、撮影条件も揃えたい
今後の観察では、新葉か古い葉か、置き場所を変えた日、撮影時刻、赤い部分の変化、乾いた褐色部分が増えていないかを一緒に残すと比較しやすくなります。同じ葉を、似た照明とカメラ設定で撮ることも大切です。これは今後の記録方法で、すでに測定を終えた結果ではありません。
新芽だけの色の違いは、斑入りベンジャミンと白斑ガジュマルを育て比べた記録にもあります。新芽の赤みと、同じ葉が光環境によって変わる現象を混同せず見ていきたいと思います。
植物の赤色は、ただの飾りではない
アスペラの赤い葉を見ていると、植物の色にはちゃんと理由があることを実感します。
植物にとって光はエネルギー源。
しかし多すぎれば、今度はダメージの原因になります。
その環境に対応するために、植物によってはアントシアニンなどの色素を利用します。
赤くなることそのものが、植物の「日光対策」になっている場合がある。
そう考えて植物を見ると、新芽の色や季節による葉色の変化まで、かなり面白く見えてきます。
我が家のアスペラについても、今後は季節や光量によって赤色がどのように変化するのか観察していきたいと思います。
※植物の赤色にはアントシアニン以外の色素が関与する場合もあり、赤色の役割も植物種や環境によって異なります。また、赤色化だけで葉焼けの有無を判断することはできません。この記事のアスペラに関する記述には筆者の栽培観察を含みます。
※以下では、当サイト運営者が栽培・増殖した植物をメルカリで販売している場合があります。また、メルカリアンバサダーのアフィリエイトリンクを含みます。

※出品状況は随時変わります。記事で紹介している植物が出品されていない場合もあります。
※リンク先の商品購入等により、当サイトが報酬を受け取る場合があります。









