
ハブカズラとは何?デクルシバとピナツム、ポトスまで混同される名前を実株で比較
ハブカズラとは何?デクルシバとピナツム、ポトスまで混同される名前を実株で比較
「ハブカズラ」と検索すると、まったく違う姿の植物が出てくることがあります。
巨大な葉を左右へ深く切れ込ませる植物もあれば、ポトスのような姿から成長し、登らせることで葉が細かく裂けていく植物もあります。
実は「ハブカズラ」は、ひとつの植物だけを指す名前として使われているわけではありません。
園芸流通では、主にRhaphidophora decursiva(ラフィドフォラ・デクルシバ)とEpipremnum pinnatum(エピプレムナム・ピナツム)の両方に「ハブカズラ」という名前が使われることがあります。
さらに沖縄などでは、一般的なポトスまでハブカズラと呼ばれるケースがあります。
見た目が似たマングーカズラなどと取り違えられている例まであり、かなりややこしい名前です。
今回は実際に育てている株を使って、「ハブカズラ」と呼ばれる植物たちの違いを整理してみます。
こちらがラフィドフォラ・デクルシバ

ラフィドフォラ・デクルシバの学名はRhaphidophora decursiva。
サトイモ科ラフィドフォラ属の大型登攀植物です。
成熟すると葉が非常に大きくなり、左右へ深く切れ込んだ迫力のある姿になります。
葉だけを見るとエピプレムナム・ピナツムの成熟葉にも少し似ていますが、植物分類上は別属です。
そして、実際に育てて茎や気根まで見ると違いがかなり分かりやすくなります。
デクルシバの茎と気根

こちらがラフィドフォラ・デクルシバの茎です。
太い茎から、はっきりした気根を伸ばしています。
私が育てている株では、エピプレムナム・ピナツムに見られるような細かな脚のような根が茎の広い範囲から出て、支持物へびっしり張り付く姿とは違います。
アロイドを見分けるとき、葉だけで判断すると間違えやすいことがあります。
茎、節間、葉柄、気根の出方まで見る。
これだけでも植物の印象はかなり変わります。
もうひとつの「ハブカズラ」エピプレムナム・ピナツム

そして、もうひとつ「ハブカズラ」の名前で流通する植物がEpipremnum pinnatum(エピプレムナム・ピナツム)です。
こちらはラフィドフォラ属ではなく、ポトスと同じエピプレムナム属。
海外でよく見るCebu Blue(セブブルー)や、園芸品種のBaltic Blueなども、このピナツム系統を理解するうえでイメージしやすい植物です。
幼葉では細長い一枚葉ですが、支柱や樹木へ登らせると葉が大型化し、左右へ深く切れ込んでいきます。
これもエピプレムナム・ピナツム系

エピプレムナム・ピナツムは、成長段階によって姿が大きく変わります。
小さいうちは一枚の細長い葉でも、登攀させて成熟すると葉が大型化し、規則的に深く裂けていきます。
この「登らせると別の植物のように変化する」ところも、エピプレムナムを育てる面白さです。
ピナツムは主脈付近に小さな穴が出ることもある
エピプレムナム・ピナツムには、もうひとつ特徴的なポイントがあります。
成熟した葉では左右へ深く切れ込むだけでなく、中央の主脈に沿うように小さな穴が開くことがあります。
この小さな穿孔は、ピナツムを観察するときの特徴のひとつです。
以前紹介した正体不明の細葉ポトスsp.についても、何年登らせてもこの特徴が現れなかったことが、典型的なピナツムではないと考えている理由のひとつです。
日本でよく見る斑入りの「ハブカズラ」

日本の園芸店で「斑入りハブカズラ」として販売されている植物には、エピプレムナム・ピナツム系のものがあります。
緑色の葉へ黄色~クリーム色の斑が入り、登らせて成熟させると葉が大型化して深く裂れていきます。
ところが、同じ「ハブカズラ」という名前でラフィドフォラ・デクルシバが紹介されることもあります。
つまり「ハブカズラ」という流通名だけでは、植物学的な種を特定できないことがあるわけです。
ゴールデンフレームも同じエピプレムナム属

こちらは我が家で育てているエピプレムナム・ゴールデンフレーム。
同じエピプレムナム属をいくつも育てていると、「ポトス=小さな吊り鉢植物」というイメージがかなり変わります。
登らせることで葉が大型化し、幼葉とはまったく違う姿になる種類や系統が多くあります。
さらにややこしい。沖縄ではポトスを「ハブカズラ」と呼ぶこともある
ここまでデクルシバとピナツムを比較してきましたが、「ハブカズラ」という名前の話はさらにややこしくなります。
沖縄などでは、一般的なポトスを「ハブカズラ」と呼ぶケースもあります。
一般的なゴールデンポトスなどは、現在ではEpipremnum aureum(エピプレムナム・オーレウム)として扱われています。
つまり「ハブカズラ」という言葉だけで検索すると、
- Rhaphidophora decursiva
- Epipremnum pinnatum
- Epipremnum aureum
と、複数の植物が出てくる可能性があります。
これは「ハブカズラ」が植物学上の学名ではなく、地域や園芸流通の中で使われてきた名前だからこそ起こる混乱です。
マングーカズラと間違われるケースもある
さらに、見た目が似ていることによる混同もあります。
大型化して葉に深い切れ込みが入ったアロイドには似た姿のものが多く、マングーカズラなどと取り違えられているケースも見かけます。
特に成熟した葉の写真一枚だけを見ると、似た植物を同じものだと思ってしまいやすいです。
しかしアロイドを見分けるときは、葉だけでは不十分です。
茎の太さ、節間、葉柄、気根の出方、幼葉から成葉への変化、そして学名。
こうした特徴を合わせて見る必要があります。
デクルシバとピナツムの違い
| 比較 | デクルシバ | ピナツム |
|---|---|---|
| 学名 | Rhaphidophora decursiva | Epipremnum pinnatum |
| 属 | ラフィドフォラ属 | エピプレムナム属 |
| 成葉 | 非常に大型化し、深く羽状に裂ける | 登攀すると大型化し、規則的に深裂する |
| 気根 | 太い茎から目立つ気根を伸ばす | 細かな付着根を多く出して張り付く姿が見られる |
| 小さな穴 | 主要な特徴にはしにくい | 主脈付近に小さな穿孔が出ることがある |
| 流通名 | ハブカズラと呼ばれることがある | ハブカズラと呼ばれることがある |
結局「ハブカズラ」とは何なのか?
結局、「ハブカズラとは何ですか?」という質問に、ひとつの学名だけで答えるのは難しい場合があります。
地域名として一般的なポトスを指すことがあり、園芸流通ではエピプレムナム・ピナツムに使われ、ラフィドフォラ・デクルシバにも同じ名前が付くことがあります。
さらに、マングーカズラなど似た大型アロイドとの取り違えまで加わります。
だから「ハブカズラを買った」という情報だけでは、実際にどの植物なのか分からないことがあります。
こういうときこそ、流通名だけでなく学名を確認することが重要です。
今回紹介したデクルシバとピナツムも、成熟するとどちらも迫力ある切れ込み葉になりますが、植物分類上は別属。
そして実際に育ててみると、葉だけではなく茎や気根の姿にも違いが見えてきます。
園芸名は便利。でも、時々かなり雑です。
それも含めて、植物を調べる面白さなのかもしれません。
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