
フィロデンドロン・フェンズリーとは?現在はトリパルティツムのシノニムだった

お店でフィロデンドロン・フェンズリーとして販売されている株を見つけました。
調べてみると「フェンズリー」は単なる最近の流通名ではなく、Philodendron fenzlii Engl.として1878年に記載された名前です。ただし現在のPlants of the World Online(Kew)では、この名前はPhilodendron tripartitum (Jacq.) Schott の異名(シノニム)として扱われています。

フェンズリーとトリパルティツムの対応
| 店頭の名前 | フィロデンドロン・フェンズリー |
|---|---|
| 現在の受容名 | Philodendron tripartitum (Jacq.) Schott |
| 異名 | Philodendron fenzlii Engl. |
| 自生域 | メキシコから熱帯アメリカ |
| 生育・成熟葉 | 湿潤な環境で登攀する。葉身は基部近くまで深く3裂 |
| 今回の記録 | 店頭株の葉とラベル。購入後の栽培記録ではない |
名称と分布の出典:Kew POWO:Philodendron tripartitum。古い学名と現在の受容名の対応が分かっても、販売ラベルだけで個々の株を完全に同定できるわけではありません。
フィロデンドロン・フェンズリーの現在の学名は?
Philodendron fenzlii Engl. という学名は実際に存在し、International Plant Names Index(IPNI)では1878年に発表された名称として記録されています。
一方、現在KewのPlants of the World OnlineではPhilodendron tripartitumを受容名とし、Philodendron fenzliiをその異名として掲載しています。つまり店頭の「フェンズリー」という名前には、きちんと植物分類上の由来があります。

特徴は3つに大きく分かれる独特な葉
Philodendron tripartitumは、その名前の通り成熟すると葉身が深く3裂するのが大きな特徴です。Kewに収録されたCATEの形態記載でも、葉身は基部近くまで深く3裂すると説明されています。中央の裂片の長さは15〜45cmとされていますが、これは葉全体の長さや、今回の店頭株を測った値ではありません。
国内の園芸流通でもフェンズリーは、キツネの面を思わせるような個性的な葉形として紹介されています。今回店頭で見た株も、この独特なシルエットがかなり目立っていました。

原種は熱帯アメリカに広く分布するつる性フィロデンドロン
Kewによると、受容名であるPhilodendron tripartitumはメキシコから熱帯アメリカに分布し、コロンビア、エクアドル、ベネズエラ、ブラジル北部などにも自生するつる性植物です。湿潤な熱帯環境を主な生育地としています。
成熟した葉の形がかなり特徴的なので、支柱などを使って登らせながら大きく育てると、幼株とはまた違った姿を楽しめそうです。仕立て方を考えるときは、水苔入りモスポールとココスティックの違いも参考になります。

「フェンズリー」は古い学名がそのまま流通名として残ったタイプ
今回調べて面白かったのは、「フェンズリー」が正体不明の園芸名ではなかったことです。Philodendron fenzliiという古い学名があり、現在はPhilodendron tripartitumのシノニムとされながら、園芸流通ではフェンズリーの名前が残っています。
アロイダーマンでは、こうした原種系や珍しいフィロデンドロンも実物を見つけたときに記録しています。ほかの株はフィロデンドロンの記事一覧でも紹介しています。
店頭名だけでは分からない背景まで調べると、植物の名前そのものにも歴史があって面白いですね。











