
モンステラ・ジェイドウィングとは?シャトルコック・ペルー・ピンナッティパルティタとの違いを実物で

モンステラ・ジェイドウィングを育てていると、ある疑問が出てきます。
実際の支柱管理については、ジェイドウィングを育てて感じた登攀と葉の維持の記録を参照してください。名前の同定と家庭での育成観察は分けて扱います。
「ジェイドウィング、ジェイドシャトルコック、モンステラ・ペルー、ピンナッティパルティタ……本当にすべて別の植物なのだろうか?」
筆者の手元には、これらの名前で入手した株が複数あります。
さらに「モンステラ・シルテペカナ」のタグ付きで入手したものの、実際のシルテペカナとは明らかに姿が異なる株も栽培しています。
実際に育て比べてみると、葉だけでなく茎の伸び方やランナー化する性質にも似た部分があり、園芸流通名だけを見て「すべて別種」と判断するのは難しいと感じています。
今回は実際に栽培している株の写真を比較しながら、この少しややこしいモンステラたちについて考えてみます。
流通名と学名を照合するときのポイント
この比較では、入手時の札に書かれていた名前を個体の記録として残しています。POWOのMonstera pinnatipartitaとMonstera siltepecanaは受容種として掲載されていますが、それだけで写真の株を同定したことにはなりません。
また、Monstera karstenianumという名称の分類上の扱いと、市販の「ペルー」の正体も別の論点です。名前の対応が未確定な間は、原産地や成熟葉の説明を別種から転用せず、葉・節間・登攀・ランナーを個体ごとに比較します。
モンステラ・ジェイドウィングとは?
ジェイドウィングは、細長い濃緑色の葉を展開するモンステラとして流通しています。
幼株の段階では葉がコンパクトにまとまり、いわゆる「ジェイドシャトルコック」と呼ばれる植物ともよく似ています。
筆者が栽培しているジェイドウィングは、支柱に登らせながら長期間育ててきました。
ところが大きく育った株を観察していると、興味深い変化が起こりました。
大株になったジェイドウィングがランナー化した

こちらが実際の株です。
通常の登攀成長とは明らかに雰囲気が変わり、節間を大きく伸ばしたランナー状の成長を始めました。
モンステラには、環境や成長段階によって地表を探索するような長い茎を伸ばす種類があります。
この性質を見ると、ジェイドウィングを単純に「細葉のモンステラ」として見るだけでは足りないように思います。
ジェイドシャトルコックと比較

こちらは「ジェイドシャトルコック」として流通していた株です。
ジェイドウィングと比較すると、葉の形や質感、株全体の雰囲気にはかなり共通点があります。
もちろん、外見が似ているだけで同一種とは判断できません。
しかし、実物を並べて育てていると、ジェイドウィングとジェイドシャトルコックが本当に別物なのかという疑問は残ります。
さらに似ているモンステラ・ペルー

さらに比較したくなるのが、一般に「モンステラ・ペルー」と呼ばれている植物です。
ペルーは葉面の凹凸が強く出る傾向がありますが、株の作りや成長の仕方を見ると、ジェイドウィングやシャトルコックと共通する印象もあります。
なお、ペルーは「Monstera karstenianum(モンステラ・カルステニアナム)」の名前で販売されることもあります。
ただし、この名前については注意が必要です。
Kew(Royal Botanic Gardens, Kew)のPlants of the World Onlineでは、Monstera karstenianum は現在受容されているモンステラの種名ではなく、Philodendron opacum のシノニムとして扱われています。
そのため、本記事では園芸流通上の植物を「モンステラ・ペルー(Monstera sp. ‘Peru’)」として扱います。
POWOの名称の扱いは、流通する実株がPhilodendron opacumだと同定されたことを意味するものではありません。学名どうしの関係と、購入した株の正体は別に確認する必要があります。
「シルテペカナ」のタグで入手した謎の株

そして、さらに話をややこしくするのがこの株です。
入手時についていたタグは「モンステラ・シルテペカナ」でした。
しかし、筆者が栽培している一般的なシルテペカナと比較すると、葉姿が大きく異なります。
少なくとも筆者は、この株をシルテペカナとして扱うことには強い違和感があります。
むしろ現時点では、ジェイドウィング周辺、あるいはピンナッティパルティタに近い姿に見えています。
植物の流通では、誤ったタグや流通名がそのまま引き継がれることがあります。
「タグに書いてある名前=必ず正しい同定」ではないことを実感した一株です。
正式種のモンステラ・シルテペカナにもランナーがある
ここで面白いのが、本物のMonstera siltepecanaについての植物学的な記載です。
KewのPlants of the World Onlineでは、Monstera siltepecanaは現在も正式に受容されている種です。
さらに掲載されている形態記載では、登攀時の茎とは別にストロンでは節間が20~30cmになることが記載されています。
つまり、少なくともシルテペカナについては「大きく節間を伸ばして探索するような茎を出す」という性質自体が植物学的にも記録されています。
ジェイドウィングで観察したランナー状の成長と直接同じものだと断定することはできませんが、モンステラを見分けるうえでは葉だけでなく茎の成長様式も重要だと感じます。
モンステラ・ピンナッティパルティタとも比較

Monstera pinnatipartitaは、Kewでも正式な種として受容されています。
成長すると葉が大きく変化するモンステラで、幼株だけを見て成株の姿を想像するのが難しい植物のひとつです。
筆者がジェイドウィング周辺の植物を育てていて特に気になっているのが、このピンナッティパルティタとの関係です。
現在のところ、「ジェイドウィング=ピンナッティパルティタ」だと裏付けられる資料は確認できていません。
そのため同一種とは断定しません。
ただし、手元の株を長期間育てながら比較すると、今後の成熟葉や茎の変化を追跡する価値は十分にあると考えています。
ジェイドウィング・シャトルコック・ペルー・ピンナッティパルティタ比較
| 流通名・名称 | 筆者の印象 | 分類上の扱い |
|---|---|---|
| ジェイドウィング | 大株でランナー状の成長を確認 | 流通名として慎重に扱う |
| ジェイドシャトルコック | ジェイドウィングと似る | 流通名として慎重に扱う |
| モンステラ・ペルー | 葉の凹凸が強いが成長様式に共通点も感じる | Monstera sp. ‘Peru’ として扱うのが無難 |
| ピンナッティパルティタ | ジェイドウィング周辺との比較を継続中 | 正式な受容種 |
| シルテペカナ | 幼葉には銀色模様が出るなど特徴が異なる | 正式な受容種 |
| シルテペカナタグの謎株 | 一般的なシルテペカナとは異なり、ジェイドウィングまたはピンナッティパルティタ系を疑う | 同定保留 |
結局、同じ植物なのか?
現時点で筆者が最も気になっているのは、園芸流通上で別々の名前が付けられている植物の中に、実際には同一種または非常に近い植物が含まれていないかという点です。
特にジェイドウィングとジェイドシャトルコック、さらにピンナッティパルティタ周辺は、今後も成長を追って比較したいと考えています。
また、モンステラ・ペルーについても「カルステニアナム」という名前が長く流通している一方、植物分類上の名称とは整合しない部分があります。
だからこそ、流通名だけから無理に答えを出すのではなく、実際の株がどのように成長するのかを記録していくことが重要だと思います。
まとめ|流通名より「育った姿」を見ていきたい
モンステラは幼株と成株で葉姿が大きく変化する種類が多く、さらにランナーや登攀茎など、成長段階によって茎の姿まで変わります。
そこへ園芸上の流通名や誤同定まで加わると、幼株だけで正確に判断することは非常に難しくなります。
今回紹介した株についても、ジェイドウィング、シャトルコック、ペルー、ピンナッティパルティタが「すべて同じ」と主張するものではありません。
むしろ「本当に別物なのか?」という疑問そのものを栽培記録として残しておきたいと考えています。
今後、現在の株がさらに成熟して葉や茎に明確な違いが現れた場合は、この記事に追記していきます。
※本記事の品種・流通名に関する考察には、筆者が実際に入手・栽培している株の観察を含みます。分類上確認できない名称については断定を避けています。







