
ガジュマルは葉の形に地域差がある?細葉・丸葉・小葉タイプを実株で観察

ガジュマル(Ficus microcarpa)をいくつか見ていると、同じ「ガジュマル」と呼ばれていても葉の形にはかなり幅があるように感じます。
今回の株は、その中でもかなり細い葉を出すタイプです。

ガジュマルの葉形と地域差を分けて整理
| 種の学名 | Ficus microcarpa L.f./クワ科フィカス属 |
|---|---|
| 分布 | 熱帯・亜熱帯アジア〜西太平洋。南西諸島を含む |
| 現在の分類 | Kewでは var. microcarpa と var. hillii の2変種を採用 |
| 掲載する株 | 細長い葉を出すガジュマル。由来地域・変種は特定していない |
| 研究との関係 | 琉球の矮性集団の研究はあるが、この所有株の産地を証明するものではない |
このガジュマルはかなり葉が細い
一般的に店頭で見かけるガジュマルと比べても、この株の葉はかなり細長く見えます。
ガジュマルはどれも同じ葉形になるわけではなく、育てていると丸みの強い葉を出す株、小さな葉を密につける株、今回のように細長い葉を出す株など、かなり個体差を感じます。

ガジュマルは非常に広い地域に分布する
ガジュマルの学名はFicus microcarpa。Kew Plants of the World Onlineでは、熱帯・亜熱帯アジアから西太平洋まで非常に広い範囲を原産地としており、日本では南西諸島にも自生します。
これだけ分布域が広ければ、地域集団によって姿に違いが見られても不思議ではありません。実際、葉の幅などの違いをもとに過去には複数の変種名が付けられてきた歴史もあります。
丸葉系・小葉系など、流通株にもいろいろある
園芸流通でも、ガジュマルには丸葉系や小葉系など、葉の特徴が異なるタイプが見られます。
ただし、園芸上の呼び名と植物分類上の変種・地域個体群は必ずしも一致しません。「丸葉だから別種」「細葉だから特定地域のガジュマル」と葉だけで断定するのは難しいところです。
Kewでは現在、Ficus microcarpaの種内分類群として var. microcarpa と var. hillii の2変種を認めています。
地域差は実際に研究されている
ガジュマルの地域による形態差は単なる園芸上の印象だけではなく、琉球列島の個体群でも研究されています。
Kameyamaらの研究(2024年)では、仲ノ神島などの集団を共通の栽培条件で育て、遺伝的な違いも調べています。矮性型と樹木型の違いが共通条件でも示され、矮性を生態型として捉える結果でした。単に強風で枝が短くなったという説明にとどまらない研究です。
ただし、地域集団を比較した結果から、産地不明の園芸株を葉形だけでその集団へ割り当てることはできません。
そのため、我が家で見ている細葉タイプについても「どこ由来の個体なのか」が分かれば面白いのですが、産地情報がない場合は細葉のガジュマルとして観察を続けるのがよさそうです。
葉の形を集めて比較してみたい
ガジュマルは身近な観葉植物ですが、株ごとの葉を並べてみると意外と奥が深い植物です。
今後、丸葉、小葉、細葉など特徴の違う株が揃ったら、同じ条件で葉を並べて比較してみたいと思います。丸みのある葉を持つモクラメと、新葉や枝に赤みがある白斑ガジュマルも別に記録しています。これらは流通名や斑の違いを観察する記事で、地域集団を同定した例ではありません。
参考:Kew Plants of the World Online – Ficus microcarpa










