
フィカス・マクロフィラとは?ジュラシック・パークにも登場した巨大ゴムノキを育てる
我が家で育てているフィカスの中でも、将来の姿を想像すると少し恐ろしくなる植物があります。
フィカス・マクロフィラ(Ficus macrophylla)です。
若い株だけを見ると、フランスゴムにも少し似た普通のフィカス。
ところがこの植物、本来は巨大な樹木になります。
枝から大量の気根を垂らし、それが地面へ到達すると太い支柱根へ成長。年月を重ねた株は、一本の木とは思えないほど巨大な姿になります。
そして映画好きなら、知らないうちにこの木を見たことがあるかもしれません。
映画『ジュラシック・パーク』で恐竜の卵が見つかる、あの巨大な根の木。
あの印象的なシーンに使われた木も、フィカス・マクロフィラとして知られています。
今回は実際に育てているマクロフィラを、フランスゴムとの違い、気根、耐寒性、挿し木まで紹介します。
マクロフィラの自然の姿と、鉢植えの実体験
| 学名・英名 | Ficus macrophylla/Moreton Bay Fig(クワ科フィカス属) |
|---|---|
| 自然分布 | オーストラリア東部 |
| 自然の大きさ | 大木になる。オレゴン州立大学は野生で約60mに達する例を紹介 |
| 根の特徴 | 大きな板根を作り、ほかの樹木の上から成長する場合もある |
| 我が家の観察 | 鉢植えでも枝から気根が出る。気根付きの枝で挿し木できている |
| 冬越しの範囲 | 東京都内で氷点下の気温を経験しても目立つ傷みはなかった。株の位置の温度・曝露時間は未記録 |
自然分布・巨大樹の形態・撮影地についてはオレゴン州立大学のマクロフィラ解説を参照しています。自然下の樹高は、鉢植えでの到達サイズや成長速度を意味しません。
これがフィカス・マクロフィラ

フィカス・マクロフィラは、オーストラリア東部などに自生する大型のフィカスです。
英語ではMoreton Bay Fig(モートンベイ・フィグ)と呼ばれます。
「macrophylla」という名前自体も、大きな葉を意味する言葉に由来します。
自生地では非常に大きな樹木となります。オレゴン州立大学の解説では野生で約60mに達することがあるとされ、栽培地や条件によっても大きさは変わります。
しかし、この植物の本当の迫力は高さだけではありません。
横へ広がる枝、巨大な根、そして気根。
大木になると、普通の「ゴムノキ」という言葉から想像する姿を完全に超えてきます。
枝から気根を出しまくる

我が家で育てていて特に面白いのが、とにかく気根を出しやすいことです。
幹の根元だけではありません。
枝からも気根が発生します。
これはマクロフィラ本来の生態にもつながっています。
野生では気根が枝から地面へ向かって伸び、地面へ到達すると太くなって、巨大な枝を支える支柱根のような構造を作ります。
つまり鉢植えから出ている小さな気根も、巨大なマクロフィラが作る「あの根」と同じ仕組みの一部です。
実は「絞め殺しの木」でもある
マクロフィラは自然界では絞め殺し植物(strangler fig)として成長することがあります。
種が別の樹木の上などで発芽すると、そこから根を地面へ向かって伸ばします。
根が地面へ到達すると成長が加速し、やがて宿主となった木を取り囲むように巨大化します。
最終的には宿主が枯れ、マクロフィラだけが巨大な構造物のように残ることもあります。
観葉植物として小さな鉢に入っている姿からは想像しにくいですが、本来はかなりワイルドなフィカスです。
フランスゴムに似ている?

若いマクロフィラを見ていると、個人的にかなり似ていると感じるのがフランスゴムです。
葉型や枝ぶりなど、パッと見た雰囲気が似ています。
しかし育てていくと違いが見えてきます。
特に分かりやすいのが葉の大きさ。
マクロフィラは名前の通り葉が大きくなり、成熟するとかなり迫力が出ます。
若苗だけを見て判断すると似ていますが、葉の大きさだけでなく、その先の樹形や根まで見ていきたい植物です。我が家のフランスゴムの葉と枝ぶりも別の記事に記録しています。
ジュラシック・パークの「あの木」
そしてマクロフィラを語るなら、この話は外せません。
映画『ジュラシック・パーク』には、巨大な根の間で恐竜の卵を発見する印象的なシーンがあります。
撮影地となったハワイ・カウアイ島のAllerton Gardenには巨大なMoreton Bay Figがあり、この木の根が映画の撮影に使用されたことで知られています。前掲の大学資料でも、Allerton Gardenの板根の間で恐竜の卵を見つける場面が紹介されています。
画面いっぱいに広がる巨大な根。
あれが、Ficus macrophyllaの成長した姿です。
我が家の鉢に収まっている株を見ると同じ植物とは思えません。
でも枝から出ている小さな気根を見ると、確かにその片鱗があります。
八丈島には、とんでもないマクロフィラがあるらしい
以前、フィカスに非常に詳しく、生産者とも密接な関係を持つ園芸関係者の方と話したときのこと。
その方がマクロフィラの話になると笑顔になり、こんなことを教えてくれました。
「八丈島の原木のマクロフィラは、大人が手をいっぱいに広げても、こーんなに大きいよ」
実際に両腕を大きく広げながら説明してくれた姿が印象に残っています。
温暖な八丈島で長年育った株についての話でした。
そんな環境で長年育った原木なら、鉢植えとはまったく違う姿になっているのでしょう。
いつか実物を見てみたい木のひとつです。
意外と寒さに強かった
そして、実際に育てていて意外だったのが耐寒性です。
私の栽培環境では、マクロフィラはフィカスの中でもかなり寒さに強い印象があります。
東京都内で気温が氷点下まで下がった環境でも、この株には目立った低温ダメージが出ませんでした。
もちろん、これは我が家の株・栽培環境での経験です。
株の大きさ、風、霜、鉢の状態などによって耐えられる条件は変わるため、「マイナス何℃まで絶対に大丈夫」という意味ではありません。
それでも複数のフィカスを育ててきた中では、想像以上に低温へ耐えたフィカスという印象があります。
気根がある枝なら挿し木もしやすい

マクロフィラは枝から気根を出しやすいため、増殖するときにもこの性質を利用できます。
私の場合、すでに気根が発生している部分を含めてカットすると、比較的容易に挿し木できています。
通常のフィカスの挿し木では、切った枝から新しい根が形成されるまで待つ必要があります。
しかし、すでに根になる組織が伸び始めている枝なら、発根までのスタート地点が違います。
マクロフィラを剪定するときは、気根が出ている枝を捨てずに挿し木へ回してみるのも面白いと思います。別のフィカスでは、親株につながったまま根を出させるジャワゴムの取り木・切り離しの記録もあります。すでにある気根を使う今回の方法とは、発根までの手順を分けて考えます。
小さな鉢植えから「巨大樹」を育てる面白さ
フィカス・マクロフィラは、珍しい斑入り品種のような派手さがある植物ではありません。
しかし、この植物の面白さは本来の姿を知った瞬間に変わります。
枝から垂れる気根。
巨大化する葉。
何十年、何百年とかけて形成される巨大な根。
そして映画『ジュラシック・パーク』にまで登場した、あの圧倒的な樹形。
今は鉢の中に収まっていても、その遺伝子の中にはあの巨大樹になる性質が入っています。
巨大樹を手のひらサイズから育てる。
マクロフィラは、そんなロマンを楽しめるフィカスだと思います。
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