
コバンボダイジュ斑入り|フィカス・デルトイデアの葉と実を観察
丸くて小さな葉が特徴的なコバンボダイジュ。
学名はFicus deltoidea(フィカス・デルトイデア)。東南アジア原産のフィカスで、英語では「Mistletoe Fig(ミスルトウ・フィグ)」とも呼ばれています。
今回紹介するのは、その斑入りタイプです。

コバンボダイジュはフィカス・デルトイデア
コバンボダイジュはクワ科フィカス属の植物で、学名はFicus deltoidea。
「ボダイジュ」という名前が付いていますが、インドボダイジュなどと同じように、日本での呼び名と植物学的な分類は分けて考えた方が分かりやすい植物です。
フィカス・デルトイデアの特徴は、なんといっても小さく丸みのある葉。
一般的なフィカスのような細長い葉とはかなり違い、丸~倒卵形、あるいは名前の由来にもなったデルタ形に近い葉をつけます。

小さいけれど、かなり厚い葉
葉を近くで見ると、コバンボダイジュらしさがよく分かります。
葉は小さいものの、触ってみるとしっかりと厚みのある革質です。
表面にも独特の質感があり、小判のような丸いシルエットと相まって、ほかのフィカスとはかなり違った雰囲気があります。
Ficus deltoideaはもともと葉の形に変異が多い植物として知られており、丸みの強いものから細長いものまで見られます。
そのため、同じ「デルトイデア」という名前でも、株によって葉の印象がかなり違うのも面白いところです。
斑入りになるとさらに独特
今回の株は、さらに葉に斑が入ります。
もともと特徴的な小判型の葉に色の変化が加わることで、通常のデルトイデアとはまた違った印象になります。
フィカスの斑入りというと、エラスティカやベンジャミンなどを見かける機会は多いですが、コバンボダイジュの斑入りはそれほど頻繁には見かけません。
小型の葉が密集する樹形なので、株が仕上がってくると斑入り葉の数も増え、かなり面白い姿になります。
コバンボダイジュは小さな「実」をつける
そして、この植物でもうひとつ面白いのが実です。
コバンボダイジュはフィカスの仲間なので、小さなイチジクのような丸いものをつけます。

普段は便宜上「実」と呼んでいますが、フィカスの場合は少し特殊です。
外から見ると果実のように見える丸い部分は隠頭花序(シコニウム)と呼ばれる構造で、その内部に非常に小さな花があります。
つまり、私たちがフィカスの「実」と呼んでいるものの中で、花が咲いているという面白い仕組みです。
Ficus deltoideaでは、このシコニウムはおよそ4~15mmほど。成熟時には黄色、オレンジ、赤、暗紫色などが記載されています。1つのシコニウムがすべての色を順番に通ると決まったわけではなく、我が家の株では今後の観察です。
観葉植物なのに実まで楽しめる
フィカスを育てていても、家庭栽培では実を見る機会があまりない種類もあります。
その点、デルトイデアは小さな葉と実の両方を観賞できるのが面白いところです。
丸い葉の間にさらに小さな丸い実が付くため、普通の観葉植物とは少し違った雰囲気になります。
海外でもFicus deltoideaは、葉だけでなく果実も観賞ポイントになるフィカスとして紹介されています。
デルトイデアは雌雄異株
もうひとつ面白い特徴があります。
Ficus deltoideaは雌雄異株とされ、雄株と雌株が分かれています。
葉形に幅があることと、今回の写真から所有株の性別を判断できることは別です。現時点では雄株・雌株を判定していません。
葉の形に幅があり、雌雄も分かれるため、名前だけでは分からない観察点の多いフィカスです。
コバンボダイジュ斑入りの基本情報
| 学名・科 | Ficus deltoidea Jack/クワ科 |
|---|---|
| 種の自生域 | タイ半島からマレシアにかけて |
| 自生環境 | 地上に育ち、ときに着生する。低地から山地まで |
| 所有株の葉 | 小型で厚い斑入り葉。種全体には葉形の幅がある |
| 実のように見える部分 | 花を内側に付けるシコニウム。種の資料では幅4~15mm |
| 性と採種 | 雌雄異株。手元の株の性別、受粉・種子の有無は未確認 |
| 斑入り株の管理参考 | 明るい半日陰、水はけのよい用土。水やりは乾き方を見て調整 |
分類と分布はKew POWO、シコニウムの形態と雌雄はシンガポールNParksの解説、管理の参考はNParksの斑入り株の解説を参照。この資料の株と我が家の株が同じ選抜系統とは確認していません。
実を見たことと、発芽できる種子があることは別
丸いシコニウムが見えても、受粉と種子の形成を確かめたことにはなりません。NParksの資料はイチジクコバチによる送粉を説明していますが、この鉢では確認していません。斑入り株の増殖法としては挿し木も紹介されています。
同じフィカス属でも葉形の幅が大きい例としてガジュマルの細葉株と地域差の研究も紹介しています。丸い葉が見えるからといって同じ種ではありません。
小さなフィカスだけど観察するとかなり面白い
コバンボダイジュは、大型のゴムノキや珍しいモンステラのような派手さがある植物ではありません。
しかし近くで見ると、厚みのある小判型の葉、斑入りの模様、そして小さな実と、かなり特徴の多いフィカスです。
さらにFicus deltoidea自体の葉形の幅と、雌雄異株という性質にも注目しています。
小さな鉢でも樹木らしい雰囲気を作りやすく、盆栽のように仕立てても面白そうです。
我が家の斑入り株についても、今後どのように斑が変化するのか、実がどのように色付いていくのか、引き続き観察していきたいと思います。
※この記事では園芸上一般的に使われる「実」という表現と、植物学上の「シコニウム(隠頭花序)」を併記しています。斑の入り方などには個体差があります。
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