
ショウナンゴムノキとは?グリーン・ライム・斑入り・アムステルダムキングを実株で比較
「ショウナンゴムノキ」と聞くと、神奈川県の湘南を思い浮かべる方も多いかもしれません。
ところが、この名前の「ショウナン」は湘南ではなく、もともと「昭南」と書かれた名前に由来するとされています。
昭南とは、かつて日本で使われていたシンガポールの呼称です。
つまりショウナンゴムノキは、名前からして少し意外な歴史を持つフィカスです。
さらに園芸流通では、一般的なグリーンだけでなく、ライム、斑入り、アムステルダムキングなど、葉色や葉幅の違うタイプも流通しています。
この記事では、実際に育てている4タイプのショウナンゴムノキを使って、それぞれの葉姿や違いを比較してみます。
ショウナンゴムノキとは?
ショウナンゴムノキは、クワ科フィカス属の常緑樹として流通している観葉植物です。
細長い葉と、軽やかに枝垂れるような樹形が特徴で、一般的なゴムノキよりもシャープで涼しげな印象があります。

現在の園芸市場では「ショウナンゴム」「ショウナンゴムノキ」の名前で広く流通していますが、学名表記には資料や流通によって揺れがあります。
KewのPlants of the World Onlineでは、Ficus binnendykii は現在も独立した種として掲載されており、タイの半島部から西部マレシア地域に分布する湿潤熱帯の樹木とされています。
ここでいう「マレシア」は植物地理の地域名で、国名のマレーシアと同じ範囲ではありません。Kewの自然分布にはタイ、マレー半島、ボルネオ、ジャワ、スマトラが挙げられています。これは学名 F. binnendykii の分布であり、以下の流通株それぞれの採集地を示すものではありません。
出典:Kew Science – Ficus binnendykii
「湘南ゴム」ではなく「昭南ゴム」?
ショウナンゴムノキで面白いのが、その名前の由来です。
現在は「湘南ゴム」と表記されることもありますが、参考にしたGKZ植物事典では「昭南護謨木」とされ、「昭南」はシンガポールを指す呼称だったと説明されています。
同事典の説明では、神奈川県の湘南に由来する名前ではありません。ただし命名当時の一次資料は、この記事では確認できていません。後述する、ご本人から伺った話も別に記録しています。
植物名は流通の中で表記や呼び方が変化していくことがありますが、ショウナンゴムノキはその分かりやすい例の一つかもしれません。
ショウナンゴム・グリーン
まずは最もスタンダードなグリーンタイプ。
細長くシャープな葉が特徴で、葉色は落ち着いた緑色です。

派手さはありませんが、葉が細いため株全体が重たく見えにくく、フィカスの中でもかなり軽やかな印象があります。
個人的には、ショウナンゴムらしい姿を一番分かりやすく楽しめるタイプだと思います。
ショウナンゴム・ライム
こちらはライムと呼ばれているタイプ。

グリーンタイプと比べると、葉全体が明るい黄緑色になり、かなり印象が変わります。
同じ細葉系のフィカスでも、葉色が明るいだけで株全体がぐっと軽く、爽やかに見えます。
新葉や光の当たり方によっても色合いが変わるため、季節ごとの葉色の変化を観察するのも面白いタイプです。
ショウナンゴム・斑入り
こちらは斑入りタイプ。

グリーンとクリーム色が混ざり合い、一枚の葉の中でも模様が大きく変化します。
斑入り植物らしく、葉ごとに模様が違うため、新しい葉が開くたびにどんな斑が入るのか楽しめます。
一方で、白やクリーム色の部分は葉緑素が少ないため、通常のグリーンタイプとは成長速度や葉焼けのしやすさに差が出ることがあります。
今後この株についても、成長速度や斑の変化を記録していく予定です。
アムステルダムキングとの違い
ショウナンゴムノキと非常によく似た植物として流通しているのが、フィカス・アムステルダムキングです。

並べて見ると、アムステルダムキングは一般的なショウナンゴムよりも葉幅が広く、ややボリューム感のある葉を持っています。
園芸情報でも、アムステルダムキングはショウナンゴム系の改良品種として紹介されることがあり、通常のショウナンゴムより葉が幅広い点が特徴とされています。
実際に育てている株を見ても、ショウナンゴムの細長く繊細な印象に対して、アムステルダムキングは少し力強く、葉面積も大きく感じます。
参考:AND PLANTS – フィカス・アムステルダムキング
所有する4タイプの葉を比較
| グリーン | 細長い葉と落ち着いた緑色。細葉の基本的な姿を観察 |
|---|---|
| ライム | 明るい黄緑色の葉。新葉と古い葉の色も継続観察 |
| 斑入り | 緑とクリーム色が混ざり、葉ごとに模様が異なる |
| アムステルダムキング | 手元の株ではグリーンより葉幅が広く、ボリューム感がある |
この表は所有株の見た目を、入手・流通時の名前で整理したものです。4タイプを同じ植物学上の種と一括して同定した表ではなく、成長速度や耐寒性の順位もまだ付けていません。
グリーンの個別の姿はショウナンゴム・グリーンの実株記録で紹介しています。この記事では4タイプを横断して比較していきます。
同じ環境で育てていくと、葉色だけではなく、成長速度や葉の大きさ、樹形にも違いが出てくる可能性があります。
このあたりは今後も実際の成長を追いながら比較していきます。
ショウナンゴムノキの名付けにまつわる小話
ここからは少し個人的な話です。
実は以前、私はショウナンゴムノキの命名に関わった方と直接お話ししたことがあります。
その方から植物の名前や流通について話を聞く機会があり、「ショウナンゴム」という名前だけでなく、園芸流通名として知られる「フィカス・グランディス」の命名にも関わったという話を伺いました。
植物を集めていると、学名だけでなく、日本の園芸業界で生まれた流通名を目にすることがよくあります。
その名前が、いつ、誰によって、どんな理由で付けられたのか。
普段はあまり意識しませんが、実際に名付けに関わった人から話を聞くと、植物の名前にも園芸文化の歴史が詰まっていることを感じます。
※この項目は、筆者がご本人から直接伺った内容をもとに記載しています。
ショウナンゴムノキの育て方
ショウナンゴムノキは、一般的なフィカスと同じように明るい場所と暖かい環境を好みます。
ただし夏の強い直射日光に急に当てると葉焼けすることがあるため、室内から屋外へ移動するときなどは徐々に光へ慣らす方が安全です。
水やりは、鉢土の表面が乾いてからたっぷり与えるのが基本。
生育期にはよく水を吸いますが、気温の低い時期は土が乾く速度も遅くなるため、過湿には注意します。
またフィカス類は環境変化によって葉を落とすことがありますが、適した環境に順応すると再び成長を始めることがあります。
一般的な管理の参考:RHS・観賞用フィカスの栽培ガイド。品種ごとの寒さの限界を比較したものではないため、4タイプ共通の最低耐寒温度は設定していません。
まとめ|ショウナンゴムは葉色と葉幅で選ぶのも面白い
ショウナンゴムノキは、細長い葉と軽やかな樹形が魅力のフィカスです。
さらに実際に複数タイプを育ててみると、グリーン、ライム、斑入り、アムステルダムキングで、それぞれかなり違った表情を見せます。
「ショウナン」という名前も、神奈川県の湘南ではなく「昭南」に由来するとされるなど、名前の背景まで掘ると意外と奥深い植物です。
今後も4タイプを同じ環境で育てながら、成長速度や葉色、葉幅、樹形の違いを追記していきます。
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参考文献・出典
- Royal Botanic Gardens, Kew – Plants of the World Online:Ficus binnendykii
- International Plant Names Index:Ficus binnendykii
- GKZ植物事典:ショウナンゴムノキ
- AND PLANTS:フィカス・アムステルダムキング







